
まず結論から・・・。
「起業家は‟どんぶり勘定”で勝負しろ!」とは?
- ポイント—1:数字に強い起業家になるには、自分の暗黙知を勘として磨くこと
- ポイント—2:現在進行形と未来数字は、どうしても経営者の才覚の一つ、‟どんぶり勘定”に頼ることになる
- ポイント—3:数字の把握は的確などんぶり勘定でつかむだけで十分。経営者の本分は数字の把握ではなく事業実態の把握にある
- ポイント—4:どんぶり勘定で押さえるべき数字は、‟把握すべきお金の流れ”と“押えておくべきお金の位置”だ
1、起業家は“どんぶり勘定”を身につけよ!
長年、経営をしてきた私にとって「お金をどう扱うか?」に対する回答は・・・、
- 「数字に強い起業家になるには、自分の経験による暗黙知を勘として磨け!」
- 「起業家たる者、計数管理は‟どんぶり勘定”でよい。間違っても経理担当者の真似事は
- するな!」
この二つの答えが、起業家、
そして経営者にとって大事な金銭感覚と言ってよいでしょう。
もともと‟どんぶり勘定”にある‟勘定”という文字は
「勘の定めるところ」
と解釈できます。


このような解釈から‟どんぶり勘定”を私なりに意訳しますと、
ということになります。



ということは、‟どんぶり勘定”はとても優れた経営能力と言えます。
‟勘”というものは数多くの経験から得た教訓によって
精度の高い判断が即座にできることを指しています。
その経験の中身とは、
などであり、それらが自分の‟暗黙知”となって
データーベース化されランダムにストックされているわけです。
そのデーターベースから同ケース、もしくは類似ケースを検索することを
‟勘を働かす”



と言うのでしょう。


決して、その場でひらめいたわけでもなければ、感覚的、思い付きから引き出された回答とは違うのです。
これらの道理から、起業家が地に足の着いた経営者になるためには
といった実力をつけることが肝要と言いたいのです。
私の場合、20代から経営を始め、おおよそ10年ぐらい経過したあたりから、
経理担当者に帳簿上の数字を聞かなくとも



概略数字は要所、要所つかめるようになりました。
2、中小企業の経営者が陥る放漫経営の実態



実は多いように思います。
赤字は当然、倒産予備軍になり得るのですが、まず知っておいて欲しいのが、
ということです。



つまり、黒字であっても放漫経営ならば倒産するのです。
そして、その放漫経営の核心にあるものが
お金の管理がズサンということ。
数字を正確につかめていないズサンさもあれば、数字はつかめているが
過去数字だけで未来数字はつかめていないといったズサンさもあります。



私が多くの経営現場で指導をさせてもらっているとき、思い知らされる実態は、
- 「お金は妻に任せている」
- 「お金は経理担当者に任せている」
- 「お金は税理士に任せている」
といった現実です。



中小企業の経営者の実態と言ってもよいでしょう。
中には逆のケースもあります。
経営者自らがお金の管理をすべてやっているケースです。
- 「お金は経営者である私が全て見ている」
- 「お金は常に一円単位で細かく見ている」
- 「お金は通帳と伝票を交互に、毎日にらめっこしている」
任せているケース、逆に自分がやっているケース、



どちらも間違っていることとは言い切れません。
問題は・・・、
任せていることで、経営実態を把握できていない。
自分で経理を担い数字ばかりに気が取られてしまい、
この2つの過剰な行為がのちのち放漫経営に繋がり、



最悪、倒産といった悲劇を生むことになるのです。
例えば、経営者が経理を担当者に任せっきりとなれば、
帳簿の数字と実際の現金の流れを経営者自らが実感として持てていないことになります。
一方、経営者自らが毎日のように数字を確認していじくりまわしているとなると、
稼ぐことへの意識が低下し、コストダウンを中心に数字合わせをするような
に偏ることもありそうです。



とてもちぐはぐで危ないことです。


私の事例ですが・・・、
ほぼ自力で学び資格取得しました。
ですので、経理には明るい方と自負しています。
若くして経営者になった私の武器は簿記の資格を持ち、経理に長けている点、と思っていました。



ところが、実際経営者になり企業の舵取りをしてみますと、
経理に長けていることはマイナスではないのですが、
一歩間違うと経理偏重の本末転倒の経営に舞い込むことに気づきました。
ついには社内にとじこもったままの
‟穴熊経営者”
となっていました。



これでは経営全体を掌握することはとても無理です。
このような危険性を回避するためには、
詳細かつ正確な過去と現在の数字は経理担当者に任せるが、
肝心な現在進行形から未来数字は経営者が
常に先んじてつかんでいる
必要があります。



但し、この部分は的確などんぶり勘定でつかむだけで十分。
そこに最大の神経と労力を注ぐべきと思っています。
そのためにも、計数管理能力は早い段階から、どんぶり勘定を身につけるようにすることが大切です。
とくに、現在進行形と未来数字は
どうしても経営者の才覚の一つ、‟どんぶり勘定”に頼ることになるので。
3、どんぶり勘定で押さえるべき数字



では、具体的にどう‟どんぶり勘定“を磨けばよいのか?
数字をつかむコツを簡単にお教えしたいと思います。私が実践してきたことです。
(ベテラン経営者には当たり前のこととなりますが・・・)
まず、「どんぶり」とは‟把握すべきお金の流れ”のことです。



そして、「勘定」とは‟押えておくべきお金の位置”を意味します。
●把握すべきお金の流れ / 3つのポイント
①現在の持ち金は?・・・・・・・・・・・(キャッシュレベル:現金主義)
②確実に入る、出るお金は?・・・・・・・(請求レベル:発生主義)
③予定として入る、出るだろうお金は?・・(仕掛かりレベル:受注主義)
●押えておくべきお金の位置 / 9つのポイント
①売上は? ②原価は?(変動費)③粗利は? ④管理費?(固定費)
⑤人件費は? ⑥利益は? ⑦借金は? ⑧未入金は? ⑨税金は?
ここに示した計12のポイントが常に頭に入れてあり、
変動するたびに頭の中で数字の入れ替えができるようになると



経営者としてほぼ一人前と言えるでしょう。
特に「把握すべきお金の流れ」は血流と同じであり、
もし詰まったり出血すれば命取りとなる生命線です。
この流れは少なくとも日々感じとっていて、



私はこの習慣を少なくとも20年間続けていました。
次に、「押えておくべきお金の位置」ですが9つあり、
それぞれにお金のあるべき姿というものがあります。
適正な売上、原価率、そして、必要粗利、必要管理費、さらに、労働分配率を示す人件費の限界、未収金の回収率、納税の目標値など
それぞれの数字には意味や価値があります。
経営者の最終的な実績評価は決算書です。
この9つの数字は全て決算書に直結しています。



健全経営、そして、企業評価を高めていく上でとても重要な数字です。