年間、最低でも30回ほど経営幹部の研修会で講師を務めています。
それらの研修中に質問を受けることがあります。
または、研修の途中、休憩時の雑談でも質問と同じ趣旨の話が飛び出します。それは
「ダメな部下はいるもんですよね」
というものです。
要は
「ダメな部下をいくら指導しても無理、価値などない」
といった救いようのない部下に対する諦めの言葉です。
なんとも情けない言葉と感じます。
- 「腐ったミカンはどこまでいっても腐っている」
- 「出来の悪い部下には手の施しようがない」
と言いたいのでしょう。
このような部下を見放した意見には、例え冗談であっても
‟怒りに近い感情”
を覚えます。
まさしく‟愚問”と言えます。
《愚問を吐く経営幹部への結論》
‟ダメな部下は鏡に映ったあなたの姿”(鏡の法則)
- 部下の不出来を嘆く前に上司であるあなた自身の考え方を正しなさい
- 部下の出来が悪いのは上司であるあなたの指導方法のまずさによるものだ
- あなたの考え方、そして、指導方法を変えない限り部下は不幸のまま放置される
その結果、あなたの無能さであなた自身の存在価値はなくなると心得よ!
職場は一将の影
『職場は一将の影』
という言葉を知っていると思います。
簡単に説明しますと
「職場というものは、その部署の上司の考え方や振る舞いによって隅々まで反映されてしまう」
ということです。
当然、上司と部下の二者間の関係においてはダイレクトに影響が及びます。
もし、あなたの部下があなたの期待する仕事をしない、しかも、注意してもしない、ということがあれば、
部下を導くのは問題点を指摘する注意ではなく、
問題点を考えさせる、そして、自ら答えを見出すように指導することなのです。
ことこのように、部下の成長は上司の考え方と指導方法によっておおきく変わるのです。
愚問の中身と私の答え
いろいろな会社の経営幹部の研修をさせてもらうと、
冒頭にも触れましたように、その参加者から部下の愚痴とも言える質問を投げかけられます。
その愚痴の類はおおよそ典型的な愚問と思って聞いていますが、下記のようなものです。
- 「言ってもやらない部下がいて困る。どうしたらいいのでしょうか?」
- 「同じ間違いを繰り返す部下がいる。どうしたらいいでしょうか?」
- 「意見を出せ、と言っても意見を出さない部下がいる。どうしたらいいでしょうか?」
- 「何度、注意しても期日を守れない部下がいる。どうしたらいいでしょうか?」
続いて、究極の愚問は?
- 「自頭が悪い部下がいる。どうしようもないですよね?」
- 「何やっても使えない部下がいる。どうしようもないですよね?」
- 「会社には全く貢献していない。むしろ、害となっている部下がいる。どうしようもないですよね?」
ついには…、
「どうしようもない部下がいる。どう辞めさせたらいいのでしょうか?」
これらの愚問に対しての私の解答は・・・、
- 言ってもやらない部下がいるのは、あなたがそうさせているだけ。
- 部下が同じ間違いを繰り返すのは、あなたの指導力に問題があるから。
- 意見を出さない部下がいるのは、あなたが意見を封じているだけ。
- 何度、注意しても期日を守れない部下がいるのは、あなたの管理、指導が悪いから。
さらに、
- 自頭が悪い部下がいるのは、あなたの思い過ごし、理解ができないだけでは?
- 使えない部下がいるのは、あなたが使えなくしているだけ。
- 会社に貢献できていない。むしろ、害を与えているのは、あなたがそう仕向けたから。
そして、
どうしようもない部下がいるのは、
あなたがそれ以上にどうしようもないからでは?
といった具合です。
私のこのような意地悪な返答は、部下の出来不出来は、全て
「因果の法則に従った上司の自業自得によるもの」
と捉えているからです。
私の解答の真意
「部下の至らなさはすべて上司の責任」とする考え方で解答しています。
これが私の真意です。
でないと上司は・・・、
- 責任をどんどん回避する癖がつく
- 上司としての仕事は何かを見失う
- 指導力の欠如に対する自覚がもてないままとなってしまう
- 部下への愛情、信念が喪失していく
(愚問をしてくる管理職のタイプ)
- 他人事のように部下を評価して見せる上司(傍観・評論家)
- 部下のしでかしたことは部下の問題だと判断する上司(責任回避)
- 部下の足りなさをいつも追求している上司(叱責魔)
- 部下はもともとダメな人材だと決めつけている上司(偏見見切り者)
こんな上司こそ、もしかしますと典型的な使えない人材であり、
そして、会社に貢献できず損害を与えている、どうしようもない幹部、いや‟患部“なのかもしれません。
どうしても部下が悪いと言い続けるのであれば
自分こそ早く会社のために身を引くべきなのかもしれません。
私の解答は少々辛口かもしれませんが、
これらの愚問、しかも、経営幹部にあって吐き出される他責に基づく問いかけは本当に多いのです。
このようにおバカな質問、心無い質問をしてくる経営幹部の皆さんには特に目が覚めてほしいと思います。