2023年9月7日、
株式会社ジャニーズ事務所(英文商号:Johnny&Associates,Inc.)は
記者会見を見る限り、
その姿勢や意気込みは十分に感じ取ることができました。
(私の個人的な感じ方ですが・・・)
今回この記事では、
私自身が経営コンサルタントとして
数多くの経営再建をお手伝いしてきた経験から
ジャニーズの経営再建について率直な感想を述べたいと思います。
率直な感想は三つです。
- 経営再建を甘く見ている
- 経営再建の原則をあまり分かっていない
- 経営再建の方法論が定まっていない
記者会見をじっくりと見させていただきました。
新しく代表取締役社長に就任した
この状況で、あの場で、しかも、あの立場で
あそこまで腹をくくり言い切ることができるか
と自問した時
東山さんのようにはできないだろうと感じました。
相当な覚悟が無い限り
あそこまで踏み込んだ物言いもできないでしょう。
しかし、最後まで聞いていく内に、少しずつ疑問点が浮かんできました。
言葉を選ばずに言えば
「おかしなことを やろうとしているのでは?」
とさえ思ったのです。
1.おかしな経営再建に走り出している
「おかしなこと」とは、
今回の事件が起きた背景に対する
- ‟認識の薄さ”(要因と事象)
- “対策へのまずさ”(経営再建への取り組み)
です。
まず、‟認識の薄さ”についてです。
言い換えれば
- 「なぜ、これまで危機管理ができていなかったのか?」
- 「この場に及んでも依然として危機管理は出来ていない」
という点です。
今回の不祥事、いや経営者の性犯罪は以下の3つの問題意識を
しっかりと掘り下げていく必要があります。
先の記者会見ではその点の
が危機管理の観点からもとても薄く感じました。
- 独裁者の欲望の歯止めがなぜ機能しなかったのか?
- 業界固有の特殊性(因習)に対して、なぜ違和感なしに放置してきたのか?
- なぜ犯罪行為に対する集団黙殺が延々と続いてきたのか?
そして、‟対策のまずさ”です。
経営再建の視点で言えば
「本当に、今回の経営再建は実効性をもつのか?」
「本来の正しい経営再建の方向性となっているのか?」
という対策の問題点を感じました。
私が感じた問題点は以下の三つです。
- 資本と経営の分離ができていない
- 被害者救済の在り方を根底からはき違えている
- 経営者に経営再建のプロを登用していない
2、私の考える経営再建の指針
私が考えるジャニーズにおける経営再建策を簡潔に述べます。
より原則論に適った考え方、
そしてより正しい方法論に従いますと
少なくとも次の5つのポイントを押さえておく必要があるでしょう。
《経営再建のポイント》
- 再建時の経営者は再建を成功させた経験がある者か企業経営に長けた者がよい
- 100%企業を生まれ変わらせるため(再生ではなく再誕)社名を一新する方がよい
- 根本的に企業構造と体質を変えるため従来の株主は全て所有株を第三者に売却すること
- 事業継続が企業の生存命題となる。事業存続に向け所属タレントが移籍しないための方針と処遇をいち早く提示し各人の承諾を得る努力をすること(急務)
- 上記の4つの対策を打つことが、被害者を救済(補償)していくために絶対条件と考える。新経営陣はこのことを分かっていること
当然、被害者救済が最優先重要事項であることは当たり前です。
しかし、救済すべき母体の会社が崩壊してしまっては救済どころではありません。
被害者の人々に対して然るべき責任を最後まで果たすには、
まして期限を決めず、「法を超えて」(東山氏の弁)の補償も行うのであれば、
再建を成功させるためにも、上記の5つのポイントの内
4つ(Point1-4)は必要不可欠の対策
と言えるでしょう。
是非、迷わず断行して欲しいと願います。
一般的に経営再建には4つの方法論があります。
- 「自力での再建」
- 「金融支援による再建」
- 「M&Aによる再建」
- 「法的手続きによる再建」
です。
今回のジャニーズ再建のケースでは、
ビックモーターのケースと同じく第三者であるスポンサーによる
M&A再建がよい
と思います。
上記のポイントを実施するとなると
自ずと選択肢はこうなります。
すべての利害関係者(ステークホルダー)が
ことが肝心なのです。
東山氏の社長就任は既に決まってしまいました。
それであれば経営に通じた人材を顧問や
相談役ではなく
ことです。
そして、時間(スピード感)が再建の明暗を決めてしまいます。
早期に大手のスポンサーを探し、健全なM&Aを実施することをお勧めしたい。