20代にして経営者になった私の最大の課題は
でした。
- 「いかに部下を指導するか?」
- 「いかに社員を育てるか?」
- 「いかにやる気をもち主体性を発揮してもらうか?」
たくさんの失敗を繰り返し
悪戦苦闘の結果、辿り着いた私の答えは・・・、
〈リーダーのあるべき姿〉
- リーダーの究極的な姿は“薫習”にあり
- リーダーの普段の姿は「インフォーマル・コミュニケーション」を重視せよ
1. リーダーの究極的な姿は?
経営者も管理職も人を導く立場にあり、所謂
リーダー / leader
として存在しています。
英語の語源にあるように
部下をリードしていくためにいる
わけですが、リードばかりがリーダーの役割なのでしょうか?
勿論、先頭に立って率先垂範によるリーダーシップもあるでしょう。
また、その逆に部下の背中を押すバックアップによって
もあります。
最近では、先頭にも後方にも立たない同列に位置する
メンバーシップ型の指導性
を実践しているリーダーもいます。
このようにリーダーシップはいろいろな関わり方があると言えます。
私は、かねてからリーダーシップの本質は
上記の3パターンにはない
と思っていました。
私が考えるリーダーシップの本質は、
です。
「意図して何もしない」と言っても、
部下には知らず知らずの内に好影響を与えること
は意識しているのです。
この部分を
薫習(くんじゅう)
と呼んでいます。
薫習(くんじゅう)とは
香が物にその香りを移して、いつまでも残るように、みずからの行為が、心に習慣となって残ること。
そして、薫習こそが究極的なリーダーのあるべき姿だと思っています。
あらためて、熏習とはご存知の方も多いと思いますが、
「薫」は「かおる、匂いがする」という字です。
よい香りの中にいれば、
気づかないうちによい香りが自分の体に染みついてしまうように、
人材育成においても同様のことが言え、
といった意味になります。
この薫習というものは
上司と部下の関係、社長と社員の関係にも当てはまり、
「鏡の法則」や「一将の影」(いっしょうのかげ)
にも通じるものだと思います。
*「鏡の法則」とは、この場合、職場はリーダーの心の中を映し出す鏡であるという法則
*「一将の影」とは、職場はリーダーの写し鏡という意味。
このようなリーダーが薫習たる存在になるためには相当、
でしょう。
少なくとも部下から尊敬、憧れ、親しみを抱かれないと薫習には至らないと言えます。
2. リーダーの普段の姿は?
究極の姿として薫習を心にとめた上で、では
「普段、部下との関わり方はどうあるべきなのか?」
私が一番、神経を使った部分です。
薫習とはほど遠い存在であった
私のリーダーシップは未熟にも場当たりでした。
少し具体的に説明します。
職場内で繰り広げられているコミュニケーションは
大きく分けて2つの場面
になっています。
一つは、仕事上のコミュニケーションが繰り広げられる
そして
仕事外(アイドルタイム)のコミュニ―ションが交わされる
です。
この二つの場面においてリーダーが
意図して緩急をつけたコミュニケーションがとれるかどうか
が部下育成にとって重要です。
私自身、経営者として、この緩急、言い換えれば
メリハリを効かせたコミュニ―ション
を意識し表現できるようになるまでに相当な時間がかかりました。
経営者に限らず、管理職者は
部下との毎日のコミュニ―ションの大半を
仕事に関するやり取りに費やしていると思います。
当然、仕事中心となりますので、どうしても
“報告、連絡、相談”
の繰り返しになりがちです。
来る日も来る日も業務中心のコミュニケーションの連続となってしまいます。
かつての私は口を開けば部下に・・・、
- 「すぐに、これに取りかかってくれ!」
- 「あれはどうなった?」「終わったのか?」
- 「これはこのようにやってくれ!」
と業務の命令、確認、指示の連続でした。
仕事ですから、決して悪いことではないのですが、
このコミュニケーションは
- リーダーが示す部下の頭への指示
- 部下の行動の規制を決定づける結果
となることが多いのです。
そうなってしまうと心の交流が極端に欠落し、
ついには部下の主体性を著しく損なうでしょう。
最終的には、やる気とか達成感といった
部下の成長源となる大事なエネルギーを奪ってしまう
わけですね。
このような業務の範疇に入る意思疎通の場面、
つまり
はコト(仕事)の生産性を上げる上で必要不可欠ではありますが、
そこには“落とし穴”があります。
それは、
ということです。
簡単に言えば、
「“仕事づくめ”の会話は心の無理を増殖させる」
と言えます。
ではどうするか?
答えは、
することです。
具体的に事例をあげます。
- 社内がどのような状態でも、いつも明るく元気な挨拶が交わされている
- かしこまった場面では、いつも気の抜ける雑談が交わされている
- 頑張っている場面では、いつも何気ない歓談が交わされている
- 張り詰めた緊張の場面では、いつも他愛もない冗談が交わされている
このようなコミュニケーションを上司自ら喚起していくのです。
この結果、部下の心の生産性は確実に高まります。
ここにある種、リーダーシップの極意が秘められているように思います。