起業家のつのだアントレです。私が実際に起業体験し、得られた教訓を紹介したいと思います。特に起業を”どう楽しいものにしていくか?”という部分で……。➨起業は楽しむためにある
この記事では、
などと、不安を感じてながらも起業家を志している人、すでに動き出している人に、私なりのアドバイスをさせていただきます。
さっそく、結論を先に言っておきます。
《起業を楽しく成功するための3つの心得》
その1:起業は実学で、起業家魂をもって自業自得の世界をつくれ!
その2:起業時、既に撤退条件を決めておけ!再起のためにも・・・。
その3:事業成功の秘訣は縦横無尽。こだわらない、粘らないことだ。
人生をかけ起業したのであれば必ず成功してほしい。起業はスタートした瞬間から試練が始まります。”苦しい、辛い、大変”といった感情に包まれます。「なぜ、そうなるか?」それは、確固たる覚悟が欠如しているからです。
私はその覚悟が薄っぺらだったため、起業を楽しむことがしばらくの期間できなかった。その覚悟というのは、起業家が最低、心得ておくべきことを意味します。せっかく起業したのなら、楽しくなくては・・・。”心得”さえ噛みしめていれば、起業は楽しさに転換できる!
では、それぞれの解説をします。
その1:起業は実学で、起業家魂をもって自業自得の世界をつくれ!
私は20代で起業した際、本屋さんでその時代に読まれていた起業ノウハウ本を10数冊読みました。同時に、知人の先輩経営者から薦められた起業セミナ―なども数回、参加して事前学習を重ねておりました。
そのように自分なりの研鑽を積むと、決まってわかった気になれて、根拠のない自信みたいなものが日々、膨らんでいました。しかし、いざ起業し事業が動き出すと想像していたものではなく、戸惑いと模索の連続でした。
事業はまさに生き物。理屈で動いていないし、問題が発生しても理論らしきもので解決などできるものはほとんどありませんでした。
一番の戸惑いと模索は、夢と希望に満ち溢れていた起業のはずが、始まってみるとすぐに厳しい現実に突き当たり、しぼみ始めてしまうということです。運よく、私は最終的には持ちこたえることができましたが、初期段階においては、思い描いていた起業の中身がほぼ空想の世界であったと思い知らされたのです。
実体は極めて現実に即したシビアなもの。課題は芋づる式に広がっていくもの。勝敗は、この時点でスリルを味わい、意識的にでもワクワクと心を躍らせることができるか?なのです。中々そうもいかないでしょうが。
ここが起業家魂のみせどころ。そうしないと萎縮してしまったり、恐怖を感じるあまり、急に守りに入ったりしてしまう。結果として状況は悪化してしまうのです。私はこのことを痛いほど経験しています。「平時のときは悲観的に、有事のときは楽観的に」といった感覚が必要なのです。
起業前の事前学習はそれ自体、無駄ではありません。いつの日か役に立つこともあります。しかし、学んだことが起業後、実際に直面する課題の解答とならないことも多い。
結局は、「その時、その場で、自分で考え、自力で乗り切っていく」といったことになりますが、そう、それでいいのです。その場で、自力で体当たりするからこそ実力が養われるわけで、起業家としての確かな骨格ができるのです。
勿論、先輩経営者にアドバイスをもらったり、専門家のコンサルタントに指導を仰ぐこと自体、決して悪いことではありません。しかし、「鵜呑みにしない、まして、言われた通り実行しない」と心しておいてください。
その方が、どのような結果がでても自業自得と受け止めることができ、すがすがしい気持ちになることができ納得感が得られます。このような境地に至れば起業を楽しく感じることもできる。これこそ、裸一貫の起業家に、本物の”起業家魂”が宿った瞬間です。
その2:起業時、既に撤退条件を決めておけ!再起のためにも・・・。
起業で一番、罪深いことは何だと思いますか?
それは、致命的といえる”倒産”です。倒産というものは、自らの人生はもちろんですが、多くの人々の人生に極めて深刻な影響を与えます。
私はこれまで倒産の二文字が頭に浮かび、眠れない夜を数え切れないほど経験してきました。幸い、倒産には至りませんでしたが、倒産に追い込まれる状況は手に取るように分かります。なぜなら、自分自身が追い込まれた倒産への危機感とあわせて、これまで数多くの倒産経営者をみてきましたので。
「起業時、既に撤退条件を決めておけ!再起のためにも」という2つ目の心得は、私の実体験から骨身にしみて学び取ったものです。言い換えれば“倒産しないための心得”と言ってよいでしょう。
商いの成功は“始末・算用・才覚を身につけた経営者にもたらされる”とよく言われます。この「始末・算用・才覚」とは昔の用語ですが、一般的に以下の意味合いです。
「始末」とは、ムダを徹底的に排除し質素と倹約を美徳とする。「算用」とは、ソロバンに合うかどうかの採算を重んじること。そして「才覚」とは、商売のセンスと言ってよいでしょう。独創的なビジネスアイディアのことでもあります。
私はこの「始末・算用・才覚」という考え方を起業の成功要素としても当てはめています。そして、この3つのキーワードの中で一番大切なものは何か?それは「始末」です。そして、「始末」の「始」と「末」、どちらが最も重要か?というと、それは「末」です。
「始末」とは“始めと終わり”のことですが、大切なことは「末」であり、“始める前に末を考えろ”ということ。つまり、うまくいかない状態を想定しておき“引き際、たたみ方を予め考えておけ”と言いたいのです。
「創業は易し、守成は難し」と言いますが、私は守成よりも始末、つまり、撤退の方が数倍、難しいと思います。
なぜなら、始めるときの希望に満ちた決断よりも、終わるときの失望に満ちた決断の方が、想像を絶する勇気も意志も覚悟も必要だからです。あわせて特段の犠牲もつきものです。だから予め合理的に、どの段階まで事業が落ち込んだら撤退するのかを決めておくことが肝心となる。
ハッキリ言います。「始まっちゃったものはやめられない!」ではすまないのです。こんな感情が動くようでは、どんどん最悪の方向に事は進行していきます。
予めどういう風になったら、どうやめるかを決めておくことは、起業家が地に足を付けて歩んでいるかどうかを図る判断基準。地に足を付けている、つまり、予め撤退条件を決めている、であればまず倒産しない。そして、倒産せずに再起できるのです。
「七転び八起」を考えて起業してください。七回転ぶ、その転びの中には撤退も含まれます。転ぶことを予定しておく。転んだら、いつ、どの時点で、どのように起き上がるかを決めておく、となれば必ず起き上がることができます。もしかすると、何度、転んでも起き上がることができるようになる。
これぞ、起業家精神=アントレプレナーシップの真骨頂ではないでしょうか?何回も起き上がることができると、起業は肚(はら)から楽しく感じることができるのです。
かくいう私もまさに七転び八起でした。実際のところは七十転び八十起ぐらい起業家精神を必死に発揮してきました。今、振り返ると生命の躍動感を全身で感じることができ、とても楽しかった。”ああ、面白かった!”と本心から言えます。今ではその七十回転んだことを、私の人生の勲章と誇りに感じているぐらいです。
その3:起業成功の秘訣は縦横無尽。こだわらない、粘らないことだ。
事業は“千三つの世界”と言われることがあります。1000の事業を仕掛けて、やっと3つが成功するという意味なのでしょう。
少し調べてみましたが、法人、つまり株式会社などの場合、おおよそですが起業から10年経つと倒産か廃業となる確率は約7割。(いろいろな統計から私なりに平均値を試算しました)この中には個人事業主は入っていません。個人事業主を入れるとさらに確率は高くなるでしょう。いずれにしても、起業後の存続はなかなか難しいことだけは分かります。
*法人の倒産・廃業➡3年30%、5年50%、10年70% 各種調査機関の平均値
*企業の平均寿命は23.3年/東京商工リサーチ 2021年統計より
ここで重要なことは、起業の存続性はもとより、起業した当初の事業の中身がどうなっているか?という部分です。私の想像ですが、もし仮に1000のビジネスが生まれ3つが生き残ったとします。その生き残った3つのビジネスは恐らく原型をとどめていないでしょう。
私の理解は、存続できる起業家は当初の事業の原型を積極的に変化させているはず。でなければ、生き残れない。なぜ、そう言いきれるのか?それは、私自身がいくつもの事業を起業し、30年間存続してこられた最大の要因を、原形を確信をもって、時に節操なく変えてきたことにあると思っているからです。
これは私の持論です。スタート時点の商品やサービス、もしくは、ビジネスモデルの原型は、市場に出現し、消費者に普及し始めると、起業家に手腕によってどんどん進化を遂げるもの。
スピーディーに原型をうまく変化させることができれば、市場にマッチしたものとなる。顧客にフィットしたものとなる。起業家は、”マッチ&フィット”を飽くなき追求していくのです。このことによって確かなビジネスに成長していく。すごく楽しいと思いませんか?
商売の原理原則として申し上げます。マッチすること(市場動向に沿っている)、フィットすること(顧客ニーズに応えている)ことこそが、起業を成功に導くのです。
同じことですが、別の視点で説明します。
起業スタート時点で、その事業が明らかに“未完成”であってはいけません。“不完全”な事業モデルではいけません。もし未完成、不完全だったとすると顧客の信頼を著しく失います。同時にクレームや損害賠償の対象にもなりかねません。
しかし、“未成熟”と思ってほしい。「未成熟であれば市場に、直接、顧客に大いに叩いてもらえる」「大いに仕上げてもらえる」。「叩いてもらう」、「仕上げてもらう」とは、「育ててもらう」ことを意味し、育ててもらうということは、”末永くご愛顧を頂ける”ということに繋がる。
今日まで継続・発展してきた商品やサービス、さらに、ビジネスモデルは、私から見るとほとんどがこのようなプロセスを踏んでいると思います。今ある携帯電話という商品、近年、注目されているサブスクというビジネスモデル、それこそ、最近注目されたUber Eatsなども…。生き残ってきたものには必ず進化の痕跡があります。
つまり、“市場に目をむける!”(マッチ)、“顧客に耳をかす!”(フィット)。この姿勢をいつまでも持ち続けることができれば、事業は限りなく発展し続けていくということです。マーケティングの分野では「カスタマーイン」という言葉に近いでしょう。
*カスタマーインとは市場の動向、顧客ニーズに応じて商品やサービスを開発したり改良すること。マーケットインの考え方から発展させたもの
このことは、企業活動自体、「環境適応業」と言われてきましたし、変化し続けることこそが生き残れるとする「進化論」を持ち出すまでもないでしょう。
もし、変化を拒み、原型に固執するとどうなるか?
原型への固執とは、始めに考案した商品やサービス、もしくはビジネスモデルに“こだわる”、“粘る”ことを意味します。この“こだわり”と“粘り”こそが、実はクセモノなのです。私の経験から、“こだわり”と“粘り”によって原型をかたくなに変えないとなると、いつの日か、顧客から見放されることにもなりかねない。
世の起業家、経営者は、少しでも原型を変えるとなると、それを失敗と勘違いする。そこで、“こだわり”の感情が芽生える。そして、こだわりが邪魔をしてしまい市場にマッチしない商品やサービスを提供し続けるのです。この提供し続ける行為が“粘り”の部分であり、粘れば粘るほど、災いとなり顧客にフィットしないものとなってしまう。これでは事業の失敗を確定させてしまう。
“こだわる”、“粘る”は、往々にして事業発展性の阻害要因となりかねないと心得ておくこと。よく「事業とは、予め計画を固め、ビジネスモデルをしっかりつくり込みし、着実に実行に移す」と、一般的には考える。まったく間違っていませんし、異論もありません。
その上で、私の考えは少しニュアンスが違います。
「事業とは、予め計画を大筋固め、ビジネスモデルを概ねつくり込みし、まずは走り出そう。動き出したら順応しながら変えていこう」といったニュアンスです。
事業計画書なるものは銀行からの融資、株主からの出資を考えると一応それなりのものが必要でしょう。あくまでも説得材料として。でもその程度なのです。計画書に縛られていては、事業は失速してしまうことが多い。本心からそう思っています。
株主や銀行の手前、まして社員の手前、一度作った計画書はとにかく変更したくない、メンツにかけても・・・と力んでしまう。もし、動き出している途中、市場や顧客の向かっている方向と違うと薄々感じた時、その力みは方向転換を阻止してしまう。ビジネス用語でいえば、ピボット不能というわけです。
方向転換ができなければ、その事業は即座に宙に浮いてしまうでしょう。宙に浮くとあとは方向性を失い、収拾がつかなくなるのです。起業家なら計画書に沿って事業展開をするのではなく、市場の変化、顧客の変化に沿ってするのです。
ここで一つ、肝心なことを付け加えておきます。「事業は大いに変えよ」、ここまではそのように力説しました。しかし一方、変えてはいけないものがあるのです。
それは、起業前、心の内に秘めていた思い、起業時から育ててきた純粋な動機です。この部分は変えないでください。
起業家は当初、野心たっぷりな不純な動機によって理屈ぬきの思いをもっているものです。その思いは、どろどろとした衝動に近いもの。情動と言ってよいかもしれません。
でも、この衝動、情動がどろどろしていればしているほど、こだわりや粘りももたらす。このこだわりと粘りこそが起業活動の強烈な原動力となっているのです。ですから大事にして欲しい。
つまるところ「事業はこだわりや粘りも捨て変化させていけ」、同時に「起業時の思いはこだわりも粘りも捨てるな」ということです。
ただし、いつかは経営者として、その思いを少しばかり洗練させていき、使命感につながる「普遍性ある理念」に昇華させていかないとなりませんが・・・・。
まとめ
”起業するなら楽しめ!”楽しむことができるためには、以下の3つは最低、心得として持っていてください。
起業において、一番大切なのはハウツーやノウハウではありません。起業家としての座標軸とも言える“価値観”そのものです。ハウツーやノウハウはその時々、時流に合ったものを必要に応じて採用すればよい。内容によっては一時しのぎの借りものでもよい。
ただ、借りものでは絶対にあってはいけないのが起業家の“アイデンティティー”(あなた自身の存在価値)です。本編で示しました3つの心得とは、あなた自身のアイデンティティーをより明確にするための参考にしていただければ幸いです。
ここまで読んでいただきましてありがとうございます。3つの心得としてまとめましたが、これらは、私の起業経験から絞り出したものです。起業するすべての人々に当てはまるかどうかはわかりませんが、一助になれば嬉しいです。
また、もしよろしければ、これからも起業や経営の体験談をnoteで発信していきますので、フォローしていただけると大変励みになります。よろしくお願いします。
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